現在の日本の列車の動力方式には動力集中方式と動力分散方式の二種類があるが基本的には動力分散方式の列車が多い。
分かりやすくするために「機関車方式」と「電車方式」と呼ぶ事にする。
機関車方式※1・・・機関車方式とは編成の先頭に機関車が1~3両連結されていて、機関車によって無動力車(客車・貨車)を牽引する列車の動力方式の事。かつて運行されていた寝台特急(日本海、北斗星、カシオペア、トワイライトエクスプレス等)がこの方式。
※1 動力集中方式とも言う
機関車方式による長所・短所は以下の通り
長所
- 自車で動力装置をもたないため、車両増備のコストが廉価である。
- 客車・貨車当たりの有効積載量に優れている。
- 動力が機関車に集中しているので点検の手間が省け[4]、車両のメンテナンスに多くの労力を要しない。
したがって長期間使用しない車両があっても維持しやすく、時期に応じて輸送の波が激しい路線に対応しやすい[注釈 2]。 - 客室での騒音や振動が少ない。
- 客車に走行機器がないため、柔軟に増結・減車ができ、超低床車や2階建車両の導入も比較的容易[注釈 3][5]。
- 機関車の交換により、異なる電化方式の区間や非電化区間への乗り入れが容易で、国際列車の運行にも適する。
- 正面衝突時でも乗客被害を軽減できる(機関車が先頭にある場合)。
短所
- 列車重量や軸重が動力分散方式より大きくなりやすい[注釈 4]。
- 原理的に全体の牽引力が許容軸重と機関車の動軸数で制約されるため、起動加速度が動力分散方式より低くなり、特に上り勾配(上り坂)では動力分散方式に比べて速度を出しにくい。動力分散方式#長所も参照。
- 動力源をソースとしたブレーキ作用を有効に用いることができない。
- 電気動力車の(広義の)発電ブレーキ、内燃動力車のエンジンブレーキ/排気ブレーキ/コンバーターブレーキがこれにあたる。特に電気動力車の場合は近年は回生ブレーキが主体のため、省エネルギー面の不利はより一層強まる。
- 機関車にはこれらのブレーキが搭載されている場合が多いが、多くの客車・貨車には搭載されていない。そのため、編成全体では空気ブレーキ主体で停止するので、エネルギーの無駄が多く、ブレーキシューの消耗などの問題も出る。日本の場合は、曲線(カーブ)や下り勾配(下り坂)、高速通過困難な分岐器などが多く、ブレーキ操作を多く必要とするため、なお一層不利である。新幹線のような高速専用軌道でも連続下り勾配のため常用ブレーキとしてこれらが使えないことは性能上の不利ばかりでなく安全上のネックにもなる。
- 一方で最も重い機関車のみに複雑なブレーキ装置を必要とし、軽量な客車ではメンテナンス性に優れた永久磁石式リターダを摩擦制動と併用する方法もあり、維持費とメンテナンスの面では未だに有利な点も多い。
- 日本式のワンマン運転が困難である。
- 終着駅やスイッチバックで折り返す際、機関車の交換や機回しが必要。
出典:ウィキペディア
※ちなみに似た方式として「準動力集中方式」という物もある。
電車方式※2・・・電車方式とは動力を多数の車両に分散させる方式の事で、現在の日本ではこの方式の列車が多い。
※2 動力分散方式とも言う
長所[編集]
- MT比が高い(大きい)ほど、起動加速度が向上するため、登り勾配でも高速走行が可能、曲線区間が多く、頻繁に加減速が要求される線区においても有効である。これは多くの電動機・機関が搭載できるため狭軌などで搭載スペースに制約があっても全体の出力を大きくできるからというだけではなく、駆動される軸が多くなることも大きい。1軸当たり許容される最大軸重をW、駆動される軸数をN、摩擦係数(粘着係数)をμとすると、編成全体での最大の牽引力Fは{\displaystyle {\mathit {F}}={\mathit {N}}{\mathit {W}}\mu }以上にはできない。駆動される軸数が少ない動力集中方式の場合、いくら高性能の電動機等を用いてもこれ以上の牽引力が原理的に発揮できず、日本のように許容される軸重が小さい場合、この制約はさらに大きくなる。したがって、多くの軸で牽引力を分担する動力分散方式の方が有利になる。
- 機関車が牽引する場合に比べて車両にかかる引張力が小さいため、車両の台枠の強度を下げ、軽量化できる。
- 動力車の軸重が軽く[注釈 1]、軌道に与える負荷が減少するため線路に与える悪い影響も少ない[1]、よってカーブやポイントでの制限速度をより高くすることができる。また保線周期を伸ばすことができ、単位輸送量あたりの保線費用を動力集中式の列車による運行に比べ低減できる。
- (電車・ハイブリッド気動車の場合限定)回生ブレーキを有効に用いることができるため、省エネルギーであり、遅れ込め制御や、近年の電車に見られるような、停止する直前まで電気ブレーキのみで減速する純電気ブレーキを搭載することで、ブレーキシューの交換周期の延長を図ることができる。
以上より一般に機関車牽引に比べて減速度(ブレーキ性能)がよく、一定距離で停止することを条件とした場合、最高速度を高く設定できる。 - 終着駅やスイッチバックで折り返す際、機回しが必要ないのでその所要時間が少なく済むほか、機回し線および操車担当の職員が不要になるため、運行コストを低減できる。また、途中で編成を分けて別々の行き先に走らせることもできる[2]。
ただし、機回しの問題に限れば欧州(特にフランスとドイツ)では、制御客車で機関車を付け替えることなくどちらの方向へも同じ速度で運転できる構造のものも多く、決定的な利点ではない。 - 冗長性が高い。編成内の一部の動力車が故障した場合でも運行を続けることができる[1]。動力集中方式では一定の距離ごとに機関車を交換するか、ロングランの場合は、やはり沿線の一定の距離ごとに予備となる機関車を配置する必要がある。
短所[編集]
- 故障した場合、動力が分かれているので手分けしていちいち調べなければならず[注釈 2]大変(動力集中方式ならば機関車を調べればよい)[3]。
- 動力や制御機構が多い分、製造費・維持費が高くなりメンテナンスもこまめに必要なので、「普段使わない車両を長期間留置しておく」のには不利、輸送の波の激しい路線には対応しにくい。
- 一般的に動力車は騒音や振動が激しいため、乗り心地を損なわれる。
- 複数動力車があることや車両の加減速度が大きい分、前後動の衝撃が大きくなり密着式連結器(もしくは密着自連)が必須になる[4]。
- 動力伝達装置に起因する抵抗が大きく、特に惰行時や高速域でのロスが大きい。
- 裏を返せば伝達装置に起因する抵抗を利用することによって、電気ブレーキや回生ブレーキ、コンバータブレーキを有効活用することができる。
- 動力集中方式の客車と比べて、2階建車両における車内の利用効率が低くなる場合がある。
- 貨物列車であれば、動力装置そのものの重量分を考慮せねばならないので1両当たり最大積載重量が減る。
- 電車の場合、異なる電化方式の区間や非電化区間への乗り入れが限定される。
- 国境を跨った列車での編成の可変性・融通性(ヨーロッパ諸国間に顕著)で不利である。
出典:ウィキペディア
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