前回、パラトライアスロンとは何ですか?というテーマでレポートを書かせていただきました。 → 今さらですがパラトライアスロンとは何ですか?
トライアスロンは、二つのカテゴリーに分かれています。
エイジの部
一般の方が参加できるレース
エリートの部
トップアスリートが参加できるレース
横浜大会のエリートの部!
出場した日本の女性トライアスリートは、たったの二人だけでした。それだけ、エリートの部で出場するのは狭き門となっているのです。
秦由加子選手とその応援団(2015年パラトライアスロン横浜大会)
一人はPT2にエントリーをしている秦由加子選手。
もう一人がPT5(視覚障がい者の部)にエントリーしている山田敦子選手です。
山田敦子選手(手前) (2015年パラトライアスロン横浜大会)
今からリオにチャレンジしても、ポイントを稼ぐのが厳しいようです。よって、リオにチャレンジできる女性トライアスリートは、この二人ににかかっています。
そこで今回、PT5でリオのパラリンピックを目指している山田敦子選手にお話を伺いました。2015/6/8 (品川)
一番最初に切り出した質問
これから視覚障がい者がパラトライアスロンにチャレンジするにあたり、どんな問題点が存在しますか?
すると山田選手。主に三つの問題点を指摘しておりました。
「人」
視覚に障害がありますので、ガイドさんの誘導のもと、一緒に競技を行います。特に海外でレースを行う場合、一緒に遠征をも行いますので、ガイドさんの確保等、様々な負担がのしかかります。一人ではレースが行えないからです。
「場所」
視覚障がい者がバイクを走行する場合、タンデム自転車を用います。このタンデム自転車(二人乗りの自転車)。乗ってもいい都道府県(9~10県ほど)と、乗ってはいけない都道府県が存在し、特に関東は全滅という事でした。練習をしたくても、練習できない実情があるのです。タンデム自転車は娯楽のためだけに存在するのではなく、パラトライアスロンの競技として用いられていたのです。
「お金」
日本で製造しているタンデム自転車。上記の理由などもあり、需要が少なく、価格が高い傾向にあるようです。また、パラリンピックを目指す場合、海外のレー スに出場し、ポイントを稼がなければなりません。山田選手はこの遠征費を捻出するのに、クラウドファンディング(ネット経由で群衆に呼びかけ資金を調達する制度)を活用しました。山田選手は視覚障がい者がトライアスロンにチャレンジできるよう、基金を作りたいとおっしゃっておりました。経済的に断念する人も少なくないようです。
視覚障がい者が参加できるトライアスロン。最近になり、少しずつ増えている傾向にあるようです。それは、「先駆者的な存在である山田敦子選手の実績が、少しずつ評価されているからです。
視覚に障害があったとしても、怪我なく安全にゴールをする。そんな山田選手の実績が、パラトライアスロン(PT5)の環境を広げている要因になっているのです。
「視覚に障害があったとしても、トライアスロンにチャレンジする姿をみてもらいたい。特に同じ境遇に直面している女性達にその姿をアピールしたい」と山田選手
「自分のためというよりも、サポートしてくれる仲間のために頑張っている」 このようにおっしゃっていたのが印象的でした。
2015年7月、その実績が認められ企業との間でアスリート契約を結ばれることになったようです。視覚に障害があったとしても、チャレンジすることの大切さ。
開拓者の精神を目の当たりに感じた取材となりました。丸尾敦子選手のブログ
著者 出川 雄一(ツイッター) 障がい者の工賃を高める仕組み(福祉資本主義)を考え、実践しております。主に点字名刺・点字印刷・ハンドメイドなど。障がい者ブランド(ココリティ)の活動も行っています。
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