非正規社員の数が増えた理由について、
司法の立場・組合の立場・経営者の立場から探ってみたいと思います。
まずは経済学者であるケインズさんの紹介です。
ケインズさんは20世紀を代表する経済学者です。そして、世界恐慌が起きた時に様々な観点から分析を行っていると・・・
ケインズ
「あれ?おかしいなー? こんなに不況なのだから賃金が下がってもいいのになぁ?賃金だけではない。商品の価格もそれほど下がらないではないか!」
商品が売れなければ価格は下がる!これが市場原理のメカニズムです。しかし、不況にもかかわらず、価格は一向に下がらなかったのです。ケインズさんは、これを下方硬直性と名づけました。
つまり、組合が抵抗しているので従業員の給料は下がりません。
人件費が下がらないので商品の価格も下がらない!ケインズは、このメカニズムを発見し、公共事業の必要性を訴えるのです。
そして、今日のテーマである非正規社員が増えた理由です。
1975年に日本食塩製造事件の最高裁の判決がくだりました。この裁判は、夏季一時金要求に伴う組合と役員の争いが発端です。
無届集会を行った組合側。
会社役員の入門を阻止したために、職場規律を害するものとし原告は懲戒解雇されてしまったのです。
最高裁の判決では「客観的・合理的な理由を欠いた場合は解雇権を乱用してはいけない!よって解雇は無効だ!」としたのです。
じゃあ、合理的な理由とは何よ? どういう状況になれば解雇してもいいのよ?ということで、1979年の東洋酸素事件での判決が参考にされています。
○「人員削減の必要性」(特定の事業部門の閉鎖の必要性)
○「人員削減の手段として整理解雇を選択することの必要性」
○「解雇対象の選定の妥当性」
○「解雇手続きの妥当性」(労使協議等を実施していること)
従業員(組合員)にとって有利な判決が出たことで、この判例が経営者にとってものすごいネックになりました。
そこで、経営者がとった行動とは・・・
派遣社員などを招き入れることだったのです。これならば、従業員(組合員)を首にすることなく会社を運営することができる!
組合員も「自分達は首にならないならばOKです」と容認しました。
お互いの利益が一致した瞬間です☆
この事が非正規社員が増える要因となり、労働者派遣法なども重なり、非正規社員が増えてしまったのです。
著者 出川 雄一(ツイッター)
障がい者の工賃を高める仕組み(福祉資本主義)を考え、
実践しております。主に点字名刺・点字印刷・ハンドメイドなど。
障がい者ブランド(ココリティ)の活動も行っています。
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