2014年5月14日、ホームから転落した女性が、直後に入ってきた電車に接触し、死亡する事故が発生してしまいました。実は点字名刺プロジェクトのお客様の奥様が、網膜色素変性症を患っていたこの女性でした。
まだ傷が癒えていないのにもかかわらず、お客様から、『貴社で作業にあたっている皆様に、「ホームでは十分にお気をつけ下さい」と一言お伝えいただければ幸いです。』とのメッセージを頂戴しております。
視覚障がい者の皆様には、
くれぐれもホームを歩く際はお気を付けください。
この事故は、「携帯電話をみながら歩いていた」という全く根拠のない報道がなされてしまい、2ちゃんねるでは、誹謗中傷を受ける事態が発生します。 しかし、カバンの中から携帯電話が確認されており、お客様は悲しく悔しい思いをされております。少しでも誤解が晴れる事を願っております。
そこで今回は、ホームから転落をした時、周りの人たちは何を行えばいいのだろうか? そして、次のレポートではホームに落ちないためにはどうすればいいのだろう?について調べてみました。
まずは統計からです。
国土交通省の資料によると、平成22年の鉄道交通における運転事故件数(電車に触れた事故)は870件あり、このうち人身障害は445件ありました。また、視覚障がい者団体でつくる日本盲人会連合によると、36パーセント程の視覚障がい者が、ホームに転落したことがあると答えていました。(252人から回答 2011年)
非常停止ボタンです。2014年5月25日撮影
ホームの高さは1~1.5メートル。
目の見える方でも上るのには一苦労です。遠慮することなく、周りの人、または駅員さんに非常停止ボタンを押してもらう事が大切になってきます。また、転落した人を見かけたら、すぐに非常停止ボタンを押すか、「ホームから転落したので、非常停止ボタンを押してください!」と叫んでください。
この非常停止ボタン。
2001年に泥酔して転落した人を助けようと、二人の男性が救助に向かい、結果として3人の命が犠牲になった事故がありました。この事故を重く見た国土交通省が非常停止ボタンの設置を鉄道会社に促し、現在に至っているようです。
非常停止ボタンを押すと、一定の範囲で走っている電車が急停車する仕組みになっています。たとえば、一番線の非常停止ボタンを押すと、二番線で通過する電車も止まる仕組みになっていますので、状況によっては反対の線路に避難する事が大切になってくるかと思います。
しかし、地下鉄の場合は注意が必要です。反対路線に避難すると感電する恐れがあるためです。地下鉄は、必ずホームの下に避難スペースがありますので、地下鉄で転落したら、ここのスペースに避難するのが無難です。
一般的に、時速70kmの電車が非常ブレーキを掛けた時、理論上180m程進む計算になりますので、躊躇することなく非常ボタンを押すことが大切になってきます。そして、ボタンを押したら必ず駅員に伝えてください。
昭和40年代以前に作られた駅では、ホーム下に避難をするスペースがないケースがほとんどです。臨機応変に反対側のスペースに避難する事になります。
一番線
ーーーーーーーーー ← レール①
ーーーーーーーーー ← レール②
二番線
ーーーーーーーーー ← レール
ーーーーーーーーー ← レール
以前、転落した女性を救助しようと、レール①とレール②の間に待機(レールに潜り込んだケース)して、間一髪無事だった方が存在しています。 しかし、これは凄く危険です。 風圧で衣服が巻き込まれる恐れがあるためです。 反対ホームにも電車が来る恐れがある場合、一番線と二番線の間のスペースを確認し、低い姿勢で待機する事が大切になってきます。
近所のホーム 2014年5月25日撮影
また、ホームを注目して頂けるとわかるのですが、ホームに転落をしても上がれるよう、間隔ごとに小さなハシゴであったり、足をかける足場が存在しています。目の見える方や意識がある方で、電車が来ていない時はこれを利用してホームにあがってください。
次のレポートでは、視覚障がい者の意見を参考にし、ホームに落ちないためにはどうすればいいのか? についてレポートを書かせて頂きます。
著者 出川 雄一(ツイッター) 障がい者の工賃を高める仕組み(福祉資本主義)を考え、実践しております。主に点字名刺・点字印刷・ハンドメイドなど。障がい者ブランド(ココリティ)の活動も行っています。
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